日本は2025年から団塊世代が後期高齢者となり、年間総死亡者数が激増する。
人々の願いは家で、痛くない、苦しくない穏やかな最期である。
しかしながら、年々わが国では人口が減少し、将来、多くの建物は廃墟となる。
住み慣れた家で最期まで診る・看る・看取る体制作りが求められている。
第24回 日本在宅ホスピス協会全国大会 大会長
千葉県立保健医療大学
安部能成
第24回日本在宅ホスピス協会全国大会の開催に際し、一言ご挨拶申し上げます。21世紀の日本社会は、少子・高齢・多死社会といわれております。一昨年来のコロナ禍により、これまでの日本社会に潜在していた問題が顕在化したように感じられます。
国民皆保険制度により日本国民の命は守られていたはずだったのに、保険料を納めてきた人々が医療にアクセスできず、入院はおろか外来受診も困難を極め、在宅療養という形態の中で亡くなられ至る事例が多発しました。在宅療養を担う医師・看護師などの専門職は、与えられた環境で必死の努力を重ねましたが、辛い日々であったことは否定できません。
この世に生を受けたものは死すべき存在であります。人類の歴史上、不変の事実ですが、どのような形でこの世を旅立つかが問われます。病と闘い、病院で旅立つことも選択肢です。あるいは、それまでの人生を過ごした住処に戻り、そこで旅立つこともまた選択肢の一つであるべきと考えます。そのような志を抱く人々の集まりが当協会であると思います。
病を得て、あるいは、老衰の進行により、旅立つ日の予感を抱いた人が、どのような形でその日を迎えようとしているのか。見送る立場の我々も考えないではいられません。いつかその日が来る、という立場は同じです。ただ、順番が明瞭でない、というだけでしょう。
在宅ホスピスは、コストのかかる施設の必要がなく、数多くの専門職を必要としません。最小限度の地域社会で、少数の人々に囲まれ、穏やかに旅立つことも可能です。そのためのコストも安く済み、財政に困難のある日本社会にとっては真剣に検討されるべき課題であると考えます。在宅ホスピスが日本の希望、とまでは断言できませんが、団塊の世代が大量に死亡する時代を迎えた日本社会では、熟考に値します。
今回、首都東京の西部に位置する多摩地区において、本領域に深い見識をお持ちの先生方をお迎えし、喫緊の検討課題を話し合う機会が与えられたことを嬉しく感じております。この度の全国大会が、21世紀の中盤に差し掛かかろうとする日本社会の問題を解決する糸口となることを祈念いたしまして、大会長の御挨拶に代えさせて頂きたいと存じます。
09:00 | 開会挨拶:大会長 安部 能成 先生 挨拶①:日本在宅ホスピス協会 会長 小笠原 文雄 先生 挨拶②:東京都医師会 会長 尾﨑 治夫 先生 挨拶③:日本在宅ケアアライアンス 理事長 新田 國夫 先生 |
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10:00 | ※講演①の講師が変更になりました 講演①:日本在宅ケアアライアンス 副理事長 武田 俊彦 先生 座長:日本在宅ホスピス協会 会長 小笠原 文雄 先生 ------------------------------ 講演②:山形県 庄内保健所所長 蘆野 吉和 先生 座長:東京大学高齢社会総合研究機構 未来ビジョン研究センター 客員研究員 辻 哲夫 先生 ------------------------------ 講演③:日本ホスピス緩和ケア協会 理事長 志真 泰夫 先生 座長:医療法人社団 在和会 立川在宅ケアクリニック 理事長 井尾 和雄 |
13:00 ~15:00 |
市民講演会①:大会長講演 安部 能成 先生 テーマ:「在宅ホスピスは日本を救うーSDGsの観点から読み解く」 座長:日本在宅ホスピス協会 会長 小笠原 文雄 先生 ------------------------------ 市民講演会②:立川在宅ケアクリニック 院長 荘司 輝昭 先生 テーマ:「最期の瞬間、あなたの眼に映るものは何ですか?」 座長:一般社団法人 立川市医師会 会長 村上 幸人 先生 ●市民講演会への参加詳細とお申込はこちらをご覧下さい |
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15:00 | 次回大会長挨拶 |
15:10 | 閉会挨拶 医療法人社団 在和会 立川在宅ケアクリニック理事長 井尾 和雄 |
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